「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A」が更新されています

厚生労働省は、「令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A」を更新しました。

今回の更新で追加された問は、次の項目に関する問です。

●妊娠・出産等の申出について
●雇用環境整備の措置の実施について
●出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて
●出生時育児休業申出期限の変更
●出生時育児休業期間の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定
●管理監督者や通常と異なる労働時間制度の適用される労働者への適用
●出生時育休中の部分就業についての休業手当の取扱い

 

【妊娠・出産等の申出について】
Q2-12:個別の周知・意向確認の措置について、印刷可能な書面データをイントラネット環境に保管しておき、妊娠・出産等をした者はそれを確認するようにあらかじめ通達等で社内周知しておく、という方法でも書面による措置として認められるのでしょうか。
 → あらかじめ広く社内周知を行い、妊娠等の申出をした労働者が自らその書面等を確認するといった方法では、義務を履行したことにはならない。

 

【雇用環境整備の措置の実施について】
Q3-4:法第22条第1項の雇用環境の整備等の措置のうち、第1号の「育児休業に係る研修の実施」について、
① オンラインでの研修の実施は可能でしょうか。
② 厚生労働省のホームページに掲載されている育児休業に関する資料の会社掲示板への掲載、配付でも雇用環境の整備の措置を実施したものとして認められますか。
 → ① 労働者がオンライン研修を受講していることを担保することが必要。
   ② 単に資料や動画の会社掲示板への掲載や配付のみでは、研修を実施したこととはならない。

Q3-6:同じく「育児休業に関する相談体制の整備」について、相談を受け付けるためのメールアドレスやURLを定めて労働者に周知を行っている場合は、相談体制の整備を行っているものとして認められますか。
 → 実質的な対応が可能な窓口が設けられていれば、差し支えない。

Q3-7:法第22条第1項の雇用環境の整備等の措置のうち、
① 雇用する労働者の育児休業の取得に関する事例の収集・提供は、1度だけ行えばよいものでしょうか。
② また、育児休業に関する制度及び育児休業の取得の促進に関する方針の周知についても、1度だけ行えばよいものでしょうか。
 → ① 定期的に事例の更新が必要。
   ② 定期的な周知の実施が必要。

 

【出生時育児休業制度に関する改正法の施行前後の取扱いについて】
Q5-4:現行のいわゆる「パパ休暇」(子の出生後8週間以内に父親が育児休業を取得した場合には再度取得可)はどうなりますか。また、現行のいわゆる「パパ・ママ育休プラス」はどうなりますか。
 → 「パパ休暇」はなくなって出生時育児休業と育児休業の分割取得化に見直され、「パパ・ママ育休プラス」は引き続き利用可能。

 

【出生時育児休業申出期限の変更】
Q5-11:法令で定められた雇用環境の整備等の措置を労使協定で定めることにより、原則2週間前までとされている出生時育児休業の申出期限を最大で1か月前までとしてよいこととされていますが、この措置のうち、「育児休業の取得に関する定量的な目標を設定」すること(育児・介護休業法施行規則(以下「則」といいます。)第21条の7第2号)については、グループ会社全体の数値目標を設定すれば要件を満たすことになりますか。
 → グループ内のそれぞれの事業主において定量的な目標設定が必要。

Q5-12:出生時育児休業申出期限の短縮に関する雇用環境の整備等の措置のうち、「育児休業の取得の促進に関する方針の周知」(則第21条の7第2号)については、1度周知すればそれで十分でしょうか。
 → 定期的な周知が必要。

Q5-13:出生時育児休業申出期限の短縮に関する雇用環境の整備等の措置のうち、「育児休業申出に係る当該労働者の意向を確認するための措置を講じた上で、その意向を把握するための取組を行うこと」(則第21条の7第3号)について、事業主が育児休業申出の意向を確認したものの、回答がない労働者がいる場合は、この要件を満たすためには、どのような取組を行えばよいのでしょうか。
 → 回答がないような場合は回答のリマインドを少なくとも1回は行うことが必要で、「まだ決められない」などの回答があった場合は、「未定」という形で把握する。

【出生時育児休業期間の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定】
Q6-3:出生時育児休業は、年次有給休暇の付与に係る出勤率算定に当たって、出勤したものとみなされますか。また、出生時育児休業中に部分就業を行う予定であった日について、欠勤した場合や子の看護休暇等の年休の出勤率算定に含まれない休暇を取得した場合についてはどのようにみなされますか。
 → 出生時育児休業をした期間についても、出勤したものとみなされる。欠勤した場合や子の看護休暇等の年次有給休暇の付与に係る出勤率算定にあたり出勤したものとみなされない休暇を取得した場合も、出勤したものとみなされる。

Q6-9:出生時育児休業中に就業させることができる者について労使協定で定める際、
・「休業開始日の○週間前までに就業可能日を申し出た労働者に限る」といった形で対象労働者の範囲を規定することや、
・1日勤務できる者(所定労働時間より短い勤務は認めないなど)、特定の職種や業務(営業職は可だが事務職は不可、会議出席の場合のみ可など)、特定の場所(A 店は可だが B 店は不可、テレワークは不可など)で勤務できる者、繁忙期等の時期に取得する者等に限定することは可能ですか。
 → 可能。

Q6-10:出生時育休中の部分就業の上限について、「就業日における労働時間の合計が、出生時育児休業期間における所定労働時間の合計の2分の1以下であること」とありますが、直前まで育児短時間勤務をしている場合等は1日の所定労働時間は6時間になるのですか。それとも出生時育児休業の開始により短時間勤務が終了となり、通常の勤務時間で計算するのでしょうか。
 → 出生時育児休業期間中は所定労働時間の短縮措置の対象とならず、出生時育休中の部分就業の上限時間は、短縮前の労働時間をもとに計算する。

 

【管理監督者や通常と異なる労働時間制度の適用される労働者への適用】
Q6-11:労働基準法第 41 条第2号に規定する管理監督者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
 → 管理監督者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能。
   出生時育休中の部分就業の合意の範囲内に労働時間の選択が限定されることをもって直ちに管理監督者性が否定されることにはならない。ただし、自身の労働時間に関する裁量を有していることから、あらかじめ合意した就業日時より少ない時間数しか実際に就業しなかったことをもって賃金の減額等のペナルティを課すことは、管理監督者性の判断においてこれを否定する要素として働き得る。
   あらかじめ合意した就業日時の範囲を超えて就業することは認められていないため、当日就業する日時の目途が立たない場合には、あらかじめ合意する就業日時を広く設定しておくことが考えられるが、その場合でも、則 21条の17に定める範囲内に収めなければならない。 

Q6-12:フレックスタイム制の適用される労働者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
 → 可能。フレックスタイム制の対象としたまま出生時育休中の部分就業の対象とする方法と、フレックスタイム制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととしたうえで、法9条の5の定めるところに従って部分就業させる方法の、2つが考えられる。

Q6-13:フレックスタイム制の適用される労働者がその適用を受けたまま出生時育休中の部分就業をする場合は、労働者の就業可能日等の申出とそれを受けた事業主の提示については、例えばどのように行うことが考えられますか。
 → 例えば、(1)労働者が就業可能な時間帯と出生時育児休業中に就業可能な時間数の最大幅を示し、(2)そのうえで、事業主から就業可能日時の外枠(その枠内で就業してよい範囲)のみを示し、その枠内での始終業時刻は労働者の決定に委ねることなどが考えられる。

Q6-14:フレックスタイム制の清算期間中に出生時育休中の部分就業を行った場合の賃金の支払に関してはどうなりますか。
 → フレックスタイム制における総所定労働時間は、出生時育児休業期間が含まれる清算期間でも特別の定めをしない限り変更になることはないため、出生時育休中の部分就業を行った時間を含む清算期間の実労働時間が清算期間の総所定労働時間に満たない場合には、その満たない労働時間分を控除した賃金を支払うことになる。

Q6-15:事業場外労働のみなし労働時間制の適用される労働者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
 → 可能。労働者を事業場外みなし労働時間制の対象としつつ出生時育休中の部分就業の対象とする方法と、一時的に別の業務に従事させることとしたうえで労働者を事業場外みなし労働時間制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととしたうえで、出生時育休中の部分就業の対象とする方法の2つが考えられる。

Q6-16:裁量労働制の適用される労働者に出生時育休中の部分就業を行わせることは可能ですか。
 → あらかじめ合意した就業日時の範囲内で就業することとなっている出生時育休中の部分就業を行いながら裁量労働制の適用を続けることはできないため、出生時育休中の部分就業を行わせる場合には、労働者を裁量労働制の対象から外し、通常の労働者の労働時間管理を行うこととしたうえで、法9条の5の定めるところに従い出生時育休中の部分就業を行わせることとなる。この場合の就業可能な時間数は、就業規則等で定められた通常の労働者に適用される所定労働時間数をもとに算出を行う。

 

【出生時育休中の部分就業についての休業手当の取扱い】
Q6-17:出生時育休中の部分就業を行う日が、使用者の事情による休業となった場合について、会社は休業手当を支給する義務がありますか。
 → 休業手当の支払いが必要。

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。

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令和3年改正育児・介護休業法に関するQ&A(令和4年7月25日時点)
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000860549.pdf