「建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A」に追記がされました

 岡山労働局のホームページに「建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A(令和7年6月19日追補分)」が掲載されました。

 本Q&Aは令和5年7月9日に公開された後、4回の更新が行われており、6月19日追補分では次の4つの問が新たに収録されています。

熱中症対策のために作業を中断した場合、その時間は労働時間に当たるか

追16 (Q)熱中症対策のために、作業を中断する時間があるが、その時間は労働時間に当たるか。

(A)
 まず、本体QA1-4のとおり、法における労働時間とは、使用者の指揮命令下にある時間のことであり、待機時間については、「使用者の指示があった場合には即時に業務に従事することを求められており、労働から離れることが保障されていない状態で待機等している時間(いわゆる「手待時間」)は、労働時間に当たる。」と解されている。
 このため、例えば、12:00~15:00の間に熱中症対策のために作業をいったん中止すると決めた場合、・ その間に天候の変化などによってWBGT値(※)の低下があった場合には、直ちに作業を再開できるよう労働者を待機させている場合には、その時間は労働時間に該当する。
・ その間は、昼休みなどの休み時間と同等程度に労働者が自由に利用することができ、仮にWBGT値が下がったとしても、あらかじめ定められた休憩時間中は作業を再開する趣旨のものではなく、使用者から作業に復帰するよう指示を受けることもなく労働から完全に解放され、労働者が権利として労働から離れることを保障されている場合には、休憩時間であるとして労働時間に該当しない。
 なお、作業を中止することとした時間を休憩時間と取り扱う場合には、労働者の1日の拘束時間が長時間に及ぶことのないよう留意することが望ましい。
 作業を中断している時間を休憩時間とした場合についても、労使の話合い等によって、この時間に対する手当を労働者に支払うこととしても差し支えない。
 ただし、手当を支払った時間を手待ち時間として扱った場合には、労働時間となる。
 また、夏季に実施する工事については、熱中症予防のために休憩時間が長く設定される場合があることを考慮した適正な工期の設定や、労働者に適切な賃金や手当が支払われることに配慮して労務費などの価格の設定が行われるよう、発注、受注に当たって留意することが必要である。
(※)WBGT(Wet-Bulb Globe Temperature)値暑熱環境による熱ストレスの評価を行う暑さ指数で、自然湿球温度、黒球温度、気温(乾球温度)から算出する数値

積雪地域では降雪期以外の時期に作業が集中することになるが、その場合に労働時間を効率的に配分することができるか

追17 (Q)積雪地域では、降雪期にはなかなか作業ができないことから、降雪期以外の時期に作業が集中することになるが、こうした場合に労働時間を効率的に配分することができる手法はあるか。

(A)
 特定の季節や、特定の月に業務が集中するなど、業務の繁閑が大きい場合には、1年を通じて労働時間を配分し、年間における総労働時間の短縮を図るために、労使協定によって、あらかじめ労働日、労働日ごとの労働時間を特定することで、1年単位の変形労働時間制を導入することが考えられる。
 1年単位の変形労働時間制の主な要件は次表のとおりであるが、対象期間を平均して1週間の所定労働時間が40時間を超えない範囲で、1週52 時間、1日10時間を限度として、各週、各日の所定労働時間を設定することができる。
 時間外・休日労働を行う必要のある事由が生じた場合には、1年単位の変形労働時間制を導入した場合においても、36協定の範囲内で労働者に時間外・休日労働をさせることができ、法定労働時間(1週40時間、1日8時間)を超える所定労働時間を設定したときは、その設定した時間を超えた労働が時間外労働となる。
 また、本制度では、積雪の度が著しく高い地域(※1)における建設業の屋外労働者については、次のような特例が設けられている。

勤務カレンダーをあらかじめ確定させることは難しいが、1年単位の変形労働時間制を導入することはできないのか

追18 (Q)1年単位の変形労働時間制は、その導入にあたって1年分の勤務カレンダーをあらかじめ定めておくことが必要と聞いたが、建設業では、年度内に随時工事を受注することも多く、1年分の勤務カレンダーをあらかじめ確定させることは難しい。こうした場合には、1年単位の変形労働時間制を導入することはできないのか。

(A)
 1年単位の変形労働時間制を導入するにあたっては、労使協定によって、次の5項目を定めることが必要である。
 ① 対象労働者の範囲
 ② 対象期間(1か月を超え1年以内の期間)及び起算日
 ③ 特定期間(対象期間中特に繁忙な期間)
 ④ 労働日及び労働日ごとの労働時間
 ⑤ 労使協定の有効期間
 このうち、④の「労働日及び労働日ごとの労働時間」については、原則としては、勤務カレンダーなどの形で1年など対象期間全体についてあらかじめ特定することになる。しかし、これが難しい場合には、就業規則等において、勤務の種類ごとの始業、終業時刻及び休日並びに当該勤務の組合せについての考え方、勤務割の作成手続き及びその周知方法等を定めておくこともできる。その場合、具体的には次の方法によって、労使協定締結時に最初の1か月分の勤務カレンダーを定め、2か月目以降の勤務カレンダーは、当該月の30日前までに定めることになる。
 ① 対象期間を1か月以上の期間に区分することとし、労使協定の締結時に、期間ごとの所定労働日数、所定労働時間数を定める。
 ② 最初の期間における「労働日及び労働日ごとの労働時間」を労使協定の締結時に定める。
 ③ 最初の期間を除く各期間の「労働日及び労働日ごとの労働時間」については、その期間が始まる少なくとも30日前に定める。
 また、この方法により、最初の期間を除く各期間の「労働日及び労働日ごとの労働時間」を定めるに当たっては、区分期間の開始の30日前までに労働者の過半数で組織する労働組合又はそうした労働組合がない場合には各事業場における労働者の過半数を代表する者の同意を得ることが必要である。

36協定の締結・届出を行った後に1年単位の変形労働時間制を導入することとしたが、留意すべきことはあるか

追19 (Q)36協定の締結、届出を行った後に、社内の労使で検討して1年単位の変形労働時間制を導入することとしたが、このとき、既に締結している36協定との関係で留意すべきことはあるか。

(A)
 まず、1年単位の変形労働時間制を導入した場合、法第36条第4項の限度時間は、1か月42時間、1年320時間となることから、導入前の36協定の一般条項に、1か月、1年における「延長することができる時間数」として、それぞれ42時間、320時間を超える時間数が定められていて、1年単位の変形労働時間制の導入後においても、時間外労働を行わせることが想定されるときは、労働者の過半数で組織する労働組合又はそうした労働組合がない場合には各事業場における労働者の過半数を代
表する者の同意を得た上で、1年単位の変形労働時間制における限度時間に適合した36協定を新たに締結し、届出を行うことが必要である。
 こうした場合も、時間外労働の上限規制の実効性を確保する観点から、1年についての限度時間及び特別条項を適用する月数については、厳格に適用すべきである。
 36協定の起算日の変更について追14を参照の上、新たな36協定を締結し、届出を行った場合には、変更後の36協定を遵
守するとともに、変更前の 36 協定における1年の延長時間及び特別条項を適用する月数を遵守することが必要である。

 

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
建設業 時間外労働 上限規制
時間外労働の上限規制 わかりやすい解説(建設業)
建設業の時間外労働の上限規制に関するQ&A
建設業・ドライバー・医師の働き方改革総合サイト はたらきかたススメ|厚生労働省

 

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