【11月末まで】令和5年度働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースを徹底解説!

 今回は、生産性を向上させ、労働時間の削減や年次有給休暇の促進に向けた環境整備に取り組むと助成される助成金、令和5年度版働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースを初心者でも理解しやすく解説いたします。

 「労働時間は規制されたけど、人手が足りないな…」という方におすすめ!今回の助成金を使って費用負担を少なく、長時間労働の改善に取り組んでみてはいかがでしょうか?
 ただ、この助成金は令和5年11月30日までの期間限定となっており、予算がなくなり次第終了となりますので、申請をお考えの方はご注意ください。

 助成金は人に対するものがほとんどで、設備投資に関しての助成金はかなり貴重です。現在、生産性が向上するような設備や機械や労務管理ソフトウェアの導入などをお考えの方は、見て損はない内容となっておりますので、ぜひ最後まで本記事とYouTubeでの解説動画をあわせてご覧ください!

働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースとは

 働き方改革推進支援助成金には、全部で5つのコースがあります。今回は、その中の労働時間短縮・年休促進支援コースについて解説していきます。
 このコースに関しては、最大で730万円支給されますが、冒頭でも記載している通り、本助成金は令和5年11月30日までの期間限定となっており、予算がなくなり次第終了となりますので、申請をお考えの方はお早めの申請をおすすめします。

≁本助成金の趣旨≁
 令和2年4月から中小企業に時間外労働の上限規制が適用されています。
 時間外労働の上限規制を簡単に言うと、時間外労働には上限時間が設けられており、それを超えると罰則がつくというものです。具体的には、原則月45時間、年360時間と定められました。特別な事情や臨時的に必要な場合等は例外として認められていますが、罰則があることにより、会社は時間外労働を上限までに抑える必要性が出てきました。
 そこで、残業時間を抑えられるような設備や機械を導入したり、労務管理のソフトウェアの導入、外部の専門家による業務の効率化を図る等、そのような取り組みをしたものに関しては、そこにかかった費用の一部が助成金として支給するという趣旨となっています。

☞これから生産性が向上するような設備や機械の導入を検討している会社や労務管理のソフトウェア導入などを検討している会社は、ぜひこの助成金を活用し、業務効率を図っていただけたらと思います。
※助成金は事後報告はダメなので、すでに導入してしまっていると対象になりません。

誰がもらえるのか

以下のいずれにも該当する事業主が対象となります。

①労働者災害補償保険の適用を受ける中小企業事業主であること。
※下記の写真をご参考ください。

②年5日の年次有給休暇の取得に向けて就業規則等を整備していること。
➤就業規則は、常時10名以上の労働者を使用する会社は作成、労働基準監督署への届出義務があります。10名未満の会社は届出義務はないため作成義務はありませんが、今回の助成金の趣旨として、「年次有給休暇管理簿」の作成をしておく必要がありますので、ご注意ください。

③交付申請時点で、下記の「成果目標」の❶から❸の設定に向けた条件を満たしていること。
➤こちらの成果目標については、下記どうしたらもらえるのか②:成果目標で解説いたします。

どうしたらもらえるのか①:助成金対象となる取組と事例

 やらないといけないことは大きく分けて、「助成対象となる取組」と「成果目標」の2つがあります。
 まずは、助成対象となる取組について解説していきます。ここでの取り組みが設備導入に当たります。取り組みとしては、下記のいずれか1つ以上を実施する必要があります。

①労務管理担当者に対する研修

②労働者に対する研修、周知・啓発

③外部専門家によるコンサルティング

④就業規則・労使協定等の作成・変更

⑤人材確保に向けた取り組み

⑥労務管理用ソフトウェア、労務管理用機器、デジタル式運行記録計の導入・更新

⑦労働能率の増進に資する設備・機器などの導入・更新
※上記①および②の研修には、勤務間インターバル制度に関するものおよび業務研修も含みます。
※上記⑥に原則として、パソコン、タブレット、スマートフォンは対象となりません。
☞上記①から⑤に対する経費については上限額がありますので、詳しくはYouTubeでの解説動画をご覧ください。
 他にも、業者の選定に相見積もりが必要などの要件もあり、どこから購入しても良い訳ではないため、注意が必要です。

<具体例>
※事例の番号は、「厚生労働省 生産性向上のヒント集(令和5年3月」に合わせています。

事例2:「顧客管理システムの導入による顧客管理業務の効率化」
【事業内容】道路貨物運送業
【課題と対応】
従来は手作業にて複雑だった顧客管理業務の簡素化及び効率化によって、担当者の負担軽減と作業時間の短縮を図りたいと考えた。
【実施概要】
助成金を活用し、顧客管理システムを導入した。
➤導入により業務効率化が図れ、労働時間短縮に繋がったので助成金の対象となります。

事例3:「新型トレーラーの導入による運搬業務の効率化」
【事業内容】道路貨物運送業
【課題と対応】
慢性的な人手不足により、従業員への負担が増え、受注量を制限せざるを得なかった。そこで、従来のトレーラーよりも多くの荷物を積載できるトレーラーを導入し、従業員の負担軽減を図りたいと考えた。
【実施概要】
助成金を活用し、新型トレーラーを導入した。
➤導入前は、例えば3台で運んでいたものが1台で運べるようになり、労働時間短縮に繋がる場合は、助成金の対象となります。

事例4:「デジタル式運行記録計の導入による事務作業の効率化」
【事業内容】道路貨物運送業
【課題と対応】
事業規模の拡大によって管理する人員や車両が増え、手作業による運行記録の事務処理に限界を感じていた。そこで、デジタル式運行記録計を導入し、日報や出勤簿の作成、労働時間管理等の事務作業の効率化をしたいと考えた。
【実施概要】
助成金を活用し、デジタル式運行記録計を導入した。

事例7:「内視鏡自動洗浄機の導入による洗浄業務の効率化」
【事業内容】医療業
【課題と対応】
熟練した看護師不足が常態化しており、熟練者が新任の看護師に指導しながら内視鏡洗浄をしていたが、洗浄工程ごとの指導や管理も必要で人手と時間を要している状況だった。そこで、内視鏡洗浄業務の効率化を図りたいと考えた。
【実施概要】
助成金を活用し、内視鏡自動洗浄機を導入した。

どうしたらもらえるのか②:成果目標

以下の「成果目標」のうち1つ以上取り組みを実施する必要があります。
※下記の取り組みを実施すればするだけ、助成金の上限額が増えていきます。

月60時間を超える36協定の時間外・休日労働時間数を縮減させること。
 ・時間外労働と休日労働の合計時間数を月60時間以下に設定
 ・時間外労働と休日労働の合計時間数を月60時間を超え月80時間以下に設定
➤提出されている36協定の「1箇月 法定労働時間を超える時間数と休日労働の時間数を合算した時間数」の欄をご覧いただき、それが60時間を超えている場合は、60時間以下に設定するとOKです。
 →この場合、上限額は150万円になります。
 上記の時間数が80時間を超えている場合は、60時間から80時間以下に設定するとOKです。
 →60時間から80時間以下の場合は、上限額が100万円になります。
 →60時間以下の場合は、上限額が200万円になります。
※会社で提出されている36協定(時間外労働・休日労働に関する協定届)の特別条項を締結・届出されている事業主様に限られます。
☞これまで時間外労働を60時間以上にしていた会社や月の残業時間が多かった会社が、残業時間数を減らすことができれば、成果目標達成になります。
※❶を実施する際の変更後の36協定は、事業実施予定期間の終了日までに提出する必要がありますので、ご注意ください。

年次有給休暇の計画的付与制度を新たに導入すること。
➤簡単に言うと、労働者と会社で有給休暇を取得する日を事前に合意をし、計画的に有給休暇を取得するというような制度です。
 →この場合、上限額は25万円になります。
※事業実施予定期間の終了日までに就業規則の変更など、その他必要な手続きを経て施行されていることが必要となりますので、ご注意ください。
✯詳細は下記申請マニュアルに記載例がございますので、参考にしてみてください。
 (就業規則への規定例なども詳しく載っております!)

時間単位の年次有給休暇制度を新たに導入+以下のいずれかの特別休暇を導入すること
➤導入が必要となる特別休暇:病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇、新型コロナウイルス感染症対応のための休暇、不妊治療のための休暇、時間単位の特別休暇
 →この場合、上限額は25万円になります。
※事業実施予定期間の終了日までに就業規則の変更など、その他必要な手続きを経て施行されていることが必要となりますので、ご注意ください。
✯詳細は下記申請マニュアルに記載例がございますので、参考にしてみてください。
 (就業規則への規定例なども詳しく載っております!)

上限額の加算要件について

 上記、どうしたらもらえるのか②:成果目標でお伝えした成果目標に応じて決定した上限額が、加算される可能性があります。
 それは、賃金を引き上げたら、その引き上げたパーセンテージと引き上げた人数に応じて上限額が加算されるというものです。

【常時使用する労働者数が30人以下の場合】
・3%以上引上げ:30万円~300万円
・5%以上引上げ:48万円~480万円
※賃金を引き上げる人数に応じて金額が変わります。

【常時使用する労働者数が30人を超える場合】
・3%以上引上げ:15万円~150万円
・5%以上引上げ:24万円~240万円
※賃金を引き上げる人数に応じて金額が変わります。

≁例:従業員数10人の会社で、7人に対して賃金を3%引き上げた場合≁
常時使用する労働者が30人以下の会社で、7人から10人の枠になるため、100万円が上限額に加算されます。

いくらもらえるのか

 ここまで、助成金の上限額について解説してきました。今回のコースでは、「成果目標」(どうしたらもらえるのか②:成果目標)の達成状況に応じて、助成対象となる取組(どうしたらもらえるのか①:助成金対象となる取組と事例の実施に要した経費の一部が支給されます。

以下のいずれか低い額が助成金額となります。
Ⅰ 以下1~3の上限額及び4の加算額の合計額
➤これは成果目標(どうしたらもらえるのか②:成果目標)のことで、何をするかに応じて助成金の上限額が変わるということです。

Ⅱ 対象経費の合計額×補助率3/4
※従業員30人以下かつ、支給対象の取組(どうしたらもらえるのか①:助成金対象となる取組と事例で⑥から⑦を実施する場合で、その所要額が30万円を超える場合の補助率は4/5
➤設備投資などに関しては、その費用が30万円を超えると4/5になります。

≁試算≁
<前提条件>
・従業員数15人の会社
・運送業
・36協定で時間外・休日労働時間時間数を60時間以上に設定
・特別休暇として新型コロナウイルス感染症対応のための休暇を導入
・デジタル式運行記録計を200万円で導入

Ⅰ時間外・休日労働時間時間数を60時間以下に設定⇒上限150万円
 新型コロナウイルス感染症対応のための休暇を導入⇒上限25万円(合計上限175万円)

Ⅱデジタル式運行記録計を200万円で導入(経費合計補助率4/5)⇒160万円
➤上記ⅠとⅡを比較し、いずれか低い方の額となるため、このケースだと160万円になります。
200万円のうち160万円が支給されるため、激熱です!

申請までの流れ

1.交付申請書」を労働局雇用環境・均等部(室)に提出
 ※締切が令和5年11月30日となりますので、ご注意ください。
   ↓
2.(交付決定後)提出した計画に沿って取組を実施
 ※事業実施は、令和6年1月31日までとなりますので、ご注意ください。
   ↓
3.労働局へ支給申請
 ※申請期限は、事業実施予定期間が終了した日から起算して30日後の日または令和6年2月9日いずれか早い日となりますので、ご注意ください。

 

今回は、働き方改革推進支援助成金の労働時間短縮・年休促進支援コースについて解説してきました。

皆さまの会社は当てはまりそうでしょうか?

この助成金はパンフレットを読んでいても、よくわからない方も多いのではないでしょうか?
今回の記事と下記のYouTubeでの解説動画を合わせるとより詳しい解説となっておりますので、助成金の活用をぜひ検討してみてください。

「2024年問題で労働時間の規制があるけど、どうしよう」と頭を悩ませている経営者の方や、「残業時間規制でどうやって残業を減らそう」と困っている方も、今回の助成金を活用し、費用負担を少なく、長時間労働の改善に取り組んでいただけたらと思います。

ただ、「導入を検討している設備が対象になるかどうか不安なので相談したい」という方や、「助成金が苦手」という方は、一度相談してみてください。
とはいえ、どこに相談していいのか分からない方も多いはずです。

専門家に相談するか、助成金の相談窓口に相談するかなど、相談にもさまざまな方法があります。

では、どの方法が一番おすすめなのか、結論は、専門家である社会保険労務士(以下、「社労士」という)に任せた方が安心です。

社労士に依頼する2つのメリット

改善点が事前にわかる
 助成金は適正な労務管理をしていることが大前提で提出書類を求められます。
 例えば、残業代の支払いがない、計算が間違っているなどの不備があると申請できない可能性が出てきます。社労士に依頼している場合は申請する前に一通り書類に目を通したり、申請に至る過程で労務管理の見直しを行ったりすることができるため、労務管理の改善と助成金の申請の2つの観点からメリットがあると言えます。

書類作成、提出、問い合わせ対応などの手間が省ける
 助成金申請には書類の作成が必要不可欠です。助成金の書類は普段見慣れない書類が多く、戸惑われる方が多いのが現状です。当然不備等があると再提出となって申請期限に間に合わないという危険も伴います。実際に受付はしてもらえたとしても、そのあとの審査で不備が見つかると問い合わせ対応や追加書類の作成・提出が求められます。プロが申請した場合でも1つの助成金に対して問い合わせが一切ないというのは稀なので、自社で申請するとなるとかなりの手間と時間がかかります。その手間と時間を社労士が代行してくれると考えるとかなりのメリットがあると言えます。

社労士は、唯一法律で助成金の申請代行が許されています。

 だからこそ、いつでも相談できる、手間の軽減にも繋がる、助成金・労務管理の専門家である社会保険労務士に一度ご相談してみてはいかがでしょうか。

初回無料相談実施中

いまなら、初回無料相談を実施しています。
この機会にぜひ一度相談してみてください。
※今回は、初回相談のみ無料となります
※2回目以降のご相談をご希望の場合は、別途費用をいただくことがございますので、予めご了承ください

✬この記事では全ての要件を記載しているわけではございません。
対象労働者の要件が他にもあったり、書類を作成する上でも注意が必要となります。
そのため、申請される際には初回相談をご利用いただくか、助成金相談窓口等のご利用をおすすめいたします。

∻お問い合わせの条件∻
助成金を悪用する目的でのお問い合わせはお断りしております。
まず初めに助成金申請が可能かどうかを確認後、ご契約となります。

YouTubeでの解説動画

 

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助成金の詳細及び手順について、貴社にあった説明をさせていただきます。

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その他、弊社のYouTubeチャンネルにも助成金や労務管理に関する様々な情報を公開しておりますのでよろしければぜひ一度ご覧ください☆

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✯厚生労働省のホームページ&パンフレットはこちら!↓↓
働き方改革推進支援助成金(労働時間短縮・年休促進支援コース) |厚生労働省

申請マニュアル(2023年度)

✯事例でご紹介したヒント集はこちら↓↓
生産性向上のヒント集(令和5年3月)

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