いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項およびリーフレットが公表されています

厚生労働省は、いわゆる「シフト制」により就業する労働者の適切な雇用管理を行うための留意事項およびリーフレットを公表しました。

これは、シフト制について、柔軟に労働日・労働時間を設定できるという点で契約当事者双方にメリットがあり得る一方、使用者の都合により労働日がほとんど設定されなかったり、労働者の希望を超える労働日数が設定されたりすることにより労働紛争が発生することもあるため、使用者が現行の労働関係法令等に照らして留意すべき事項をとりまとめたものです。

留意事項として、(1)労働契約の締結、(2)労働者の安全と健康の確保、(3)労働者を実際に労働させるにあたっての労働時間等の扱い、(4)労働契約の終了、(5)期間の定めのない労働契約への転換、(6)不合理な待遇差の禁止、(7)労働者の募集等、(8)社会保険、労働保険の加入等、が示されています。

ここでは、「(1)労働契約の締結」の留意事項を抜粋します。

●「始業および終業の時刻」に関する事項の明示
・労働契約の締結時点において、既に始業および終業時刻が確定している日については、その日の始業および終業時刻を明示しなければならないので、労働条件通知書等には、単に「シフトによる」と記載するのでは足りない
・その場合、労働日ごとの始業および終業時刻を明記するか、原則的な始業および終業時刻を記載したうえで労働契約の締結と同時に定める一定期間分のシフト表等を併せて労働者に交付するなどの対応が必要

●「休日」に関する事項の明示
・労働契約の締結時に休日が定まっている場合は、これを明示しなければならない
・具体的な曜日等が確定していない場合は、休日の設定にかかる基本的な考え方などを明示しなければならない

●就業規則に規定すべき事項
・シフト制労働者に関して、就業規則上「個別の労働契約による」、「シフトによる」との記載のみにとどめた場合、就業規則の作成義務を果たしたことにならない
・基本となる始業および終業の時刻や休日を定めたうえで、「具体的には個別の労働契約で定める」、「具体的にはシフトによる」旨を定めることは差し支えない

●労働契約に定めることが考えられる事項(就業規則に定める等して、一律に設けることも考えられる)
・シフトの作成に関するルール
 → シフト表などの作成にあたり、事前に労働者の意見を聴取すること
 → 確定したシフト表などを労働者に通知する期限や方法
・シフトの変更に関するルール
 → シフトの期間開始前に、確定したシフト表などにおける労働日、労働時間等の変更を使用者または労働者が申し出る場合の期限や手続き
 → シフトの期間開始後に、使用者または労働者の都合で、確定したシフト表などにおける労働日、労働時間等を変更する場合の期限や手続き
・労働日、労働時間などの設定に関する基本的な考え方
 → 一定の期間において、労働する可能性がある最大の日数、時間数、時間帯
 → 一定の期間において、目安となる労働日数、労働時間数

●労働契約の確認
・使用者と労働者でシフト作成・変更のルール等について合意した場合には、労基法の定めにより明示すべき労働条件に加えて、これらの合意内容についても、当事者間でできる限り書面により確認しておくことが望まれる

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。

シフト制 労働日 労働時間 労働契約 始業 終業 休日 就業規則

いわゆる「シフト制」について
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_22954.html