アフターコロナ期の産業別雇用課題に関する報告書が公表されています
厚生労働省は、アフターコロナ期の産業別雇用課題に関するプロジェクトチーム報告書を公表しました。
本プロジェクトチームは、コロナ禍において雇用調整助成金の支給累計額や1件あたり支給額が高い産業を対象に、各業界の今後の雇用における課題やアプローチの方向性を明らかにするために設置されたもので、報告書では次の5つの業界で必要とされる支援等がまとめられています。
●飲食業
●宿泊業
●バス/タクシー業界
●自動車・同部品製造業
●航空運輸業
【飲食業】
・コロナ禍以前から慢性的な人手不足で、現在かろうじて確保できている人員を事業再開に向けて維持しているという切実な事業主側の事情がある
・パート労働者の社会保険の適用拡大による費用負担増に頭を悩ませつつも、採用方法の見直しやパート・外国人の採用拡大に取組み中
・魅力ある求人づくりの指導、飲食業分野の特定技能外国人材の円滑な受入れ・活用支援などによる人材確保環境の整備が期待されている
【宿泊業】
・令和4年秋頃からの需要回復に期待する見方が高い一方、需要回復時の人手確保が喫緊の課題
・中核人材の定着を図るため、働きやすい職場の整備が喫緊の課題であるとの危機感が強いが、長時間労働の改善、休日の確保、給与水準の改善、社宅・寮の整備、全館休業日の導入、ITを活用したスムーズチェックインなど事業主によって取組みに差がある
・多様な職種から成り、従業員の専門職ごとの分業からマルチタスク化への転換も一つの可能性として認識されている
・宿泊業の特定技能在留資格取得に必要な評価試験を実施する機関を業界団体主導で立ち上げるなど、外国人材の活用に業界を挙げて取り組んでいる
・外国人材の定着を促進する取組みの一つとして、適切な賃金・報酬体系の整備の必要性も認識されている
・雇用管理改善に労務分野の専門家の視点を介在させることによって、従業員定着の受け皿を整える取組みが求められる
・多様な求職者がそれぞれ自己の希望に応じた働き方で宿泊業に従事できるよう、個々のタスクの切出し、IT導入、求職者側の就業ニーズの把握などの支援も一つの方向性といえる
・既存の中核人材のマルチタスク化を図る取組みを政策的に支援することで、給与水準の改善や休日の確保など、構造的な問題の解決に向けた足がかりとなることも期待される
・特定技能外国人材の受入れには、入職・定着するための枠組みづくりの支援や、日本の労務慣行の不知からくるミスマッチの防止、就業規則などルール整備による安心感の醸成など、従来の外国人材支援を宿泊業の実態に即して運用する枠組みの構築が後押しとなる
【バス・タクシー業界】
・コロナ禍以前から人手不足感が強く、雇用保蔵の意図もあって雇用調整助成金を活用した休業が続いているが、運転士の技量の低下が安全性の懸念に直結しかねないため、休業を交代制にして各運転士の稼働日数の平準化など工夫している
・バス運転士については、企業グループ内の貨物部門に出向させるなど、休業ではないかたちでの余剰人員の維持も一部に見られる
・運転士の合同面接会の実施といった従来型のマッチング支援や、新規入職者確保のために賃金水準やキャリア形成情報を可視化するノウハウの支援など、雇用管理改善面の対策によって業界が直面する課題に対応していくことが求められている
・出向先とのマッチング支援や出向契約書の作成支援を行うとともに、産業雇用安定助成金による人件費助成の一層の活用促進も望まれる
【自動車・同部品製造業】
・累計支給決定額が多い産業分野の一つだが、海外の感染動向を主な要因とし、供給面の制約を理由とする休業が中心である点で、他の産業とは大きく事情が異なる
・自動車製造業界は、技術革新や新たなサービスへの転換などに直面した大きな変革期にあり、IT・ソフトウェア関連等の高度人材の確保が喫緊の課題
・新たな人材の確保のみならず、既存の従業員がEV化等による製造技術の変化に対応できるよう、職業訓練機会のニーズを把握し、必要な公共職業訓練コースの開発や企業に対する人材確保の伴走支援を進めること、人材開発支援助成金による支援なども課題に対応する方策の一つ
・在籍型出向を活用してデジタル技術の習得機会を実地で得られるようにするなど、業界内あるいはデジタル業界と協力した人材育成の取組みの工夫も期待される
【航空運輸業】
・受給事業所の約3分の1が雇用調整助成金の1年以上の長期継続受給を続けている
・新型コロナ期を通じて常時遊休人員が生じており、在籍型出向による就業機会の確保が有効な選択肢の一つと考えられる
・同一企業グループ内で出向先を確保できる事業体もあり、需要回復時に比較的柔軟に本業復帰させることのできる環境が(他業種と比較すれば)確保できる事情もうかがえる
・出向先で得たスキルを出向終了後に本業で活かすことができるような仕組みを活用し、自宅待機から就業(出向)への移行を政策的に支援する取組みが望まれる
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
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アフターコロナ期の産業別雇用課題に関するプロジェクトチーム
https://www.mhlw.go.jp/stf/projectteam_20220425.html