トラック運転手の改善基準告示見直しに向けた議論が行われました

第7回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会が開催され、トラック運転手の改善基準告示見直しに向けた議論が行われました。

第6回で示されていた現行基準の見直しに関する考え方が、より具体的に示されています。

 

【拘束時間】
・1カ月の拘束時間は時間外・休日労働が月80時間未満となる水準(274時間)を軸として検討すべきではないか。
・特例水準については、時間外・休日労働が月100時間未満となる水準(294時間)を軸に検討し、さらに疲労の蓄積を防ぐ観点からその連続期間の上限も併せて検討してはどうか。
・タクシー、バスにおける総拘束時間等の短縮に伴い、新たに、事故、災害等の「予期し得ない事象」について例外的な取扱いとしたことも踏まえて、検討してはどうか。

 

【1日の拘束時間、休息期間】
・脳・心臓疾患の労災認定基準の見直し(11時間未満の勤務間インターバルの有無等を評価対象に追加)を踏まえ、タクシーやバスと同じ水準を軸に考えるべきではないか。
 (参考)タクシー、バスの見直し内容
 ・1日の拘束時間:13時間を超えないものとし、当該拘束時間を延長する場合であっても、最大拘束時間は15時間とする。この場合において、1日の拘束時間が14時間を超える回数(注)をできるだけ少なくするよう努めるものとする。
 ・1日の休息期間:勤務終了後、継続11時間以上の休息期間を与えるよう努めることを基本とし、継続9時間を下回らないものとする。
  (注)通達において、「1週間に3回以内」を目安として示すこととする。

 

【運転時間】
・改善基準告示による規制の中核をなすものであることから、拘束時間、休息期間等の基準に加えて、別途この基準を存置して遵守を求めることが重要。
・現行の基準(1日9時間(2日平均)、1週間44時間(2週平均))を踏まえ、ILO条約やEU規則等の内容も念頭に置きつつ、多様な勤務実態等への対応や労働者の健康確保等の観点を踏まえて運転時間のあり方について検討すべき。
 (参考)ILO条約、EU規則の内容(運転時間)
 ・ILO第153号条約 : 1日9時間、1週48時間
 ・EU規則 : 1日9時間(週2回まで10時間に延長可)、1週56時間、2週90時間

 

【連続運転時間】
・改善基準告示による規制の中核をなすものであることから、自動車運転者の疲労の蓄積の解消、運用面での課題などを十分に考慮し、慎重な検討が必要。
・運転の中断(現行:10分以上合計30分以上)は、ILO条約等においては休憩(break)であり、自動車運転者が蓄積した疲労を回復するための時間と位置付けられていると考えられることについて、どう考えるか。
・そのうえで、連続運転時間(現行:4時間)について、SA・PAに入れないこと等により意図せずに4時間を超えてしまう実態への対応について、どう考えるか。

 

【特例】
●休息期間の分割
当分の間、業務の必要上やむを得ない場合の特例として設けられたものであり、ILO条約の休息期間の基準を満たしておらず、また、「業務の必要上」の判断は厳格に運用することとされていることを踏まえて検討すべき。

●2人乗務
車両内に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合に限って拘束時間の延長、休息期間の短縮を認めるものであり、仮にこれを超える特例を設けることとする場合には、自動車運転者の過労運転防止の観点から、合理的に説明し得る要件・基準とすべき。

●フェリー乗船
現行どおりとしてはどうか。

 

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
労働時間 トラック 改善基準告示 拘束時間 休息期間 運転時間 連続運転時間 勤務間インターバル
第7回労働政策審議会労働条件分科会自動車運転者労働時間等専門委員会トラック作業部会資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_26477.html