フードデリバリー配達員、ITフリーランスに対する労災保険特別加入について検討

5月14日、第97回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会が開催され、フードデリバリー配達員、ITフリーランスに対して労災保険の特別加入を認める対象範囲の拡大に関する検討が行われました。
 
資料では、フリーランスとして業務を行っていると推計される人数は、次のように示されています。
 
【フードデリバリー配達員数】
約15万7,000人
そのうち、自転車利用配達員の数は約9万人
 
【ITフリーランス】
約17万6,000人~25万6,000人
 
また、把握されている事故や労働災害としては、次のようなものがあります。
 
【フードデリバリー】
・配達員が交差点を曲がろうとした際、直進してきた自転車と接触。転倒し腰を強打。
・タクシーが乗降りをしてはいけない場所で、乗降のためにタクシーがドアを開き、開いたドアに配達員の自転車が追突。右手人差し指6針・右左太腿打撲。
・バイクで配達中の交差点で右折時、配達員の左右確認が遅くなり、右を見た途端に出会い頭に衝突。右肩靱帯損傷。
・配達員が店舗に向かう途中、停車中のトラックの後ろの荷台を止めるゴムが風になびいて配達員のバイクのミラーに絡まり転倒。右上腕骨折等々の怪我にて27日間入院。
・交通事故に遭い、捻挫。その後、バイクを持ち上げる際に再び転倒。
 
【ITフリーランス】
・精神疾患・腰痛・坐骨神経痛・椎間板ヘルニア・腱鞘炎・通勤時の事故
・精神疾患に関しては、職種上納期が厳格に定められている場合が多く、過多なストレスが生じる事例が多い。
・腰痛を代表とする身体的疾患は、長時間同じ姿勢での業務となることにより発生している。
 
適用する業種区分や料率については、次のような案が示されています。
 
【フードデリバリー】
●同種もしくは類似の既存の業種(特別加入区分を含む)
 → 原動機付自転車による貨物運送事業に適用される「特1 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業」に含まれる業種が類似の既存業種と考えられる
●今回設定する業種等
 → 「特1 自動車を使用して行う旅客又は貨物の運送の事業」(料率12/1000)の業種に追加することとしてはどうか
 
【ITフリーランス】
●同種もしくは類似の既存の業種(特別加入区分を含む)
 → 情報処理・提供サービス業、インターネット付随サービス業に適用される「9436 情報サービス業」が類似の既存業種と考えられる
●今回設定する料率等
  → 「9436 情報サービス業」が含まれる「94 その他の各種事業」における料率 3/1000 とするのはどうか