働き方に中立的な社会保障制度等の構築に向けた議論が行われています
第8回全世代型社会保障構築会議が開催され、働き方に中立的な社会保障制度等の構築に向けた議論が行われました。
次の2つの方向での検討を進める必要があり、その際には、中小企業を含めた我が国企業による積極的な取組みも不可欠であることから、関係する事業所管省庁も含め、政府全体で施策の展開に努めるべきとされています。
●勤労者皆保険の実現
●非正規雇用の方々を取り巻く課題の解決や労働移動の円滑化
資料では、上記に向けて次のような取組みを行うべきとされています。
勤労者皆保険の実現
・被用者としてふさわしいセーフティネットが確保されるよう、働き方や勤め先の企業規模・業種に関わらず、被用者保険(厚生年金保険・健康保険)が適用されることを目指すべき。
・短時間労働者への被用者保険適用に関する企業規模要件の撤廃、常時5人以上を使用する個人事業所の未適用業種の解消は、早急に実現すべき。併せて、円滑に適用拡大を進めるために必要となる方策を検討するべき。
・5人未満を使用する個人事業所や、週労働時間20時間未満の短時間労働者を被用者保険の適用除外にしている規定の見直しを進め、被用者保険の適用拡大を図るべき。
・複数事業所勤務者(マルチワーカー)で、特に労働時間等を合算すれば適用要件を満たす場合については、当該事業所においては20時間未満の場合でも適用する際に生じる技術面や事務的な課題等に留意しつつ、マイナポータルの活用も含め、具体的な検討を早急に進め、実現の道を探るべき。
・労働基準法上の「労働者」に該当するフリーランス・ギグワーカーは被用者保険が適用される旨を明確化したうえで、適用促進のため必要となる対応を早急に講ずるべき。そのうえで、上記にあてはまらない場合の社会保険適用のあり方について、フリーランス・ギグワーカーの実態や諸外国の例も参考に、新しい類型の検討も含め、引き続き検討すべき。
・女性就労の制約となっていると指摘される社会保障制度や税制等を働き方に中立的なものにしていくことに関し、さらなる被用者保険の適用拡大を一層強力に進めていくとともに、被用者保険適用のメリットを広く国民に対してわかりやすく示していくべき。このほか、第3号被保険者の考え方や在職老齢年金の在り方、自営業者等への保険料賦課の在り方について、年末に向けてさらに議論を続ける。
非正規雇用の方々を取り巻く課題の解決や労働移動の円滑化
・日本型「同一労働同一賃金」の履行確保に向けた取組を一層強力に推進するとともに、正社員と非正規雇用労働者の基本給等における待遇差の解消に与えた効果を検証し、ガイドライン等の必要な見直しを検討すべき。
・「無期転換ルール」について、その実効性をさらに高めるための方策を講ずるべき。
・正社員への転換を希望する非正規雇用労働者に対し、キャリアアップ助成金を通じた支援や、学び直し、職業訓練の支援等を継続的に推進すべき。
・「多様な正社員」の拡充は、非正規雇用労働者の「正規化」にも資するものであり、労使双方にとって望ましい形で普及・促進する方策を検討すべき。
・個人のリスキリングなど人材の育成・活性化のための施策や、継続的なキャリアサポート、職業・職場情報の見える化など労働移動の円滑化を促進するための施策について、一層強力に推進すべき。
・公正な待遇の確保や正社員も含めた労働移動円滑化を実現するためにも、被用者保険の適用拡大を着実に進めることが重要であり、加えて、非正規雇用労働者の待遇改善や中途採用に関する取組状況等について、非財務情報の開示対象に加え、企業の取組みを促すことも検討すべき。
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