失業「1年以上」が74万人―失業者全体の3割超~総務省労働力調査
総務省が8月10日に発表した労働力調査(詳細集計)で、2021年4月~6月の失業者233万人のうち、仕事につけない期間が1年以上に及ぶ人が74万人と、3割以上を占めていることがわかりました。新型コロナ禍で経済活動の抑制が続いていることが最大の要因とみられます。以下、調査結果の概要をみていきましょう。
◆正規、非正規の職員・従業員数と「非正規」の理由
役員を除く雇用者5,615万人のうち、正規の職員・従業員は3,557万人、非正規の職員・従業員は2,058万人で、非正規の職員・従業員については四半期別で6期ぶりの増加となりました。非正規の職員・従業員について、現職の雇用形態についた主な理由を男女別にみると、男女ともに「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最も多く、男性は181万人と前年同期に比べ4万人の増加、女性は469万人と64万人の増加となっています。一方、「正規の職員・従業員の仕事がないから」と消極的な理由を回答した男性は104万人と3万人の減少、女性では111万人と4万人の減少でした。
◆失業者数と仕事につけない理由
失業者は233万人と、前年同期に比べ19万人増加しています。失業期間別にみると、失業期間が「3か月未満」の者は95万人と2万人の増加、「1年以上」の者は74万人と19万人の増加となりました。失業者全体を仕事につけない理由別にみると、「希望する種類・内容の仕事がない」とした者が最も多い78万人と12万人の増加で、「求人の年齢と自分の年齢とがあわない」が26万人、「勤務時間・休日などが希望とあわない」が22万人でした。また、「条件にこだわらないが仕事がない」とした者も16万人と、2万人の増加となっています。
◆前職の離職理由
失業者233万人のうち、離職した失業者は158万人と前年同期に比べ19万人の増加となりました。これを前職の離職理由別にみると、 「定年又は雇用契約の満了のため」とした者が28万人、 「家事・通学・健康上の理由のため」とした者が25万人でしたが、「会社倒産・事業所閉鎖のため」が13万人、「人員整理・勧奨退職のため」が15万人、「事業不振や先行き不安のため」が8万人と、会社の業績悪化や倒産が原因とうかがわせる離職も増加傾向が続いています。
コロナ禍の先行きが見通せない中、我慢の続く企業も多いと思います。ただ一方で、業績が好調または回復基調にある企業にとっては、積極的に人材を採用できる機会といえるかもしれません。
【参考】総務省「労働力調査(詳細集計)2021年(令和3年)4~6月期平均」PDF
https://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/4hanki/dt/pdf/gaiyou.pdf