無期転換ルールの見直し、多様な正社員の労働契約関係明確化等に関する報告書案が公表されています

第13回多様化する労働契約のルールに関する検討会が開催され、無期転換ルールの見直し、多様な正社員の労働契約関係明確化等に関する報告書案が示されました。

概要では、それぞれ次のように見直すべき点を挙げています。

【無期転換ルール】
●総論
・現時点で根幹から見直さなければならない問題が生じている状況ではないが、各企業における有期労働契約や無期転換制度について、労使双方が情報を共有し、企業の実情に応じて適切に活用できるようにしていくことが適当

●無期転換を希望する労働者の転換申込機会の確保
・ルールの認知度に課題があり、さらなる周知が必要
・無期転換申込権が発生する契約更新時に、労基法の労働条件明示事項として、転換申込機会と無期転換後の労働条件について、使用者から個々の労働者に通知することを義務付けることが適当

●無期転換前の雇止め等
・無期転換前の雇止め等について、考え方を事例に応じて整理し、周知するとともに、個別紛争解決制度による助言・指導で活用していくことが適当
・紛争の未然防止や解決促進のため、(1)更新上限の有無およびその内容の明示の義務付けおよび(2)最初の契約締結より後に更新上限を新たに設ける場合には労働者の求めに応じた上限設定の理由説明の義務付けを措置することが適当
・無期転換申込みを行ったこと等を理由とする不利益取扱いはその内容に応じて司法で救済され得るものであり、現行法等の周知徹底が適当。また、権利行使の妨害抑止に繋がるような方策を検討することが適当

●通算契約期間およびクーリング期間
・現時点で枠組みを見直す必要は生じていないと考えられる

●無期転換後の労働条件
・有期契約時と異なる定めを行う場合の法や裁判例等に基づく考え方を整理し、周知することが適当
・無期転換者と他の無期契約労働者との待遇の均衡について、法3条2項(注1)を踏まえて均衡考慮が求められる旨の周知や、法4条(注2)を踏まえて使用者に無期転換後の労働条件について考慮した事項の労働者への説明を促す措置を講じることが適当
・無期転換後も、パート・有期労働法に基づき短時間・有期契約労働者等の処遇の見直しが行われる際には、フルタイムの無期転換者についても、あわせて法3条2項も踏まえて見直しを検討することが望ましい
 (注1)労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。
 (注2)使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする。

●有期雇用特別措置法に基づく無期転換ルールの特例
・さらなる周知を行うことが適当

【多様な正社員の労働契約関係明確化】
●総論
・多様な正社員について、労使双方にとって望ましい形での普及・促進が必要
・従来からの統一的・集団的な労働条件決定の仕組みの下では勤務地限定等の個別的な労働契約内容が曖昧になりやすいことに起因する労使紛争の未然防止や、労使双方の予見可能性の向上に加え、労使間の情報の質・量の格差是正や契約に係る透明性の確保を図ることが必要
・労働契約関係の明確化は、多様な正社員のみならず、全労働者に対して有益であるため、労働者全般を対象に検討することが適当

●労働契約関係の明確化
・労基法15条の労働条件明示について、勤務場所や業務内容の変更範囲の予見可能性の向上等の観点から、多様な正社員に限らず労働者全般について、15条明示の対象に就業場所・業務の変更の範囲を追加することが適当
・変更をめぐる紛争の防止等に資するよう、労働条件の変更時も15条明示の対象とすることが適当
・具体的には、労働者全般について、労働契約締結時に書面で明示することとされている労働条件が変更されたとき((1)就業規則の変更等により労働条件が変更された場合および②就業規則等の変更の範囲内で業務命令等により変更された場合を除く)は、変更の内容を書面で明示する義務を課す措置が考えられる
・あわせて、就業規則について労働者が必要なときに容易に確認できるような方策や中小企業への支援の検討が必要

【労使コミュニケーション等】
・無期転換制度等を定める際に、無期転換者・有期契約労働者の意見が反映されるよう、労使コミュニケーションを促すことが適当
・いわゆる正社員自体の働き方の見直しを含め、労使コミュニケーションを促すことが適当
・無期転換や多様な正社員に係る制度等については、労働者全体に関わるものであるほか、雇用形態間の待遇の納得感が得られるようにするため、個々の労働者の意見を吸い上げるとともに、労働者全体の意見を調整することも必要。その上で、過半数代表者に関する制度的担保や新たな従業員代表制の整備を含め、多様な労働者全体の意見を反映した労使コミュニケーションの促進を図る方策も中長期的な課題

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。

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多様化する労働契約のルールに関する検討会 第13回資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24493.html