精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会報告書(案)が公表されています

第13回精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会が開催され、報告書(案)が公表されました。

これは、業務による心理的負荷を原因とする精神障害の認定基準が策定されて10年が経過し、働き方の多様化が進み、労働者を取り巻く職場環境が変化するなどの社会情勢の変化とともに認定基準への認知が高まり、保険給付請求件数が年々増加し、令和3年度には2,346件となっていること等を受け、令和3年12月から最新の医学的知見を踏まえ多角的に検討を重ねてきた結果を取りまとめたものです。

案では、現行の「業務による心理的負荷評価表」と比較して、主に次のような変更があります。

特別な出来事

●心理的負荷が極度のもの
・ 生死にかかわる、極度の苦痛を伴う、又は永久労働不能となる後遺障害を残す業務上の病気やケガをした
 (業務上の傷病により6か月を超えてる療養中に症状が急変し極度の苦痛を伴った場合を含む)
●極度の長時間労働
・ 発病直前の1か月におおむね160時間を超えるような、又はこれに満たない期間にこれと同程度の(例えば3週間におおむね120時間以上の)時間外労働を行った(休憩時間は少ないが手待ち時間が多い場合等、労働密度が特に低い場合を除く)

特別な出来事以外(具体的出来事)

●「4 多額の損失を発生させるなど仕事上のミスをした」 
 → 「4 会社の経営に影響するなどの重大な仕事上のミスをした」から変更

●「6 業務に関連し、違法な行為や不適切な行為等を強要された」
 → 「7 業務に関連し、違法行為を強要された」から変更

●「7 達成困難なノルマが課された・対応した・達成できなかった」
 → 「8 達成困難なノルマが課された」「9 ノルマが達成できなかった」から変更

●「8 新規事業や、大型プロジェクト(情報システム構築等を含む)などの担当になった」
 → 「10 新規事業の担当になった、会社の建て直しの担当になった」から変更

●「9 顧客や取引先から対応が困難な注文や要求等を受けた」
 → 「11 顧客や取引先から無理な注文を受けた」「12 顧客や取引先からクレームを受けた」から変更

●「10 上司や担当者の不在等により、担当外の業務を行った・責任を負った」
 → 「14 上司が不在になることにより、その代行を任された」から変更

●「13 大きな説明会や公式の場での発表を強いられた」 
 → 削除

●「14 感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」 
 → 新設

●「19 雇用形態や国籍、性別等を理由に、不利益な処遇等を受けた」 
 → 「24 非正規社員であるとの理由等により、仕事上の差別、不利益取扱いを受けた」から変更

●「20 自分の昇格・昇進等の立場・地位の変更があった」
 → 「25 自分の昇進・昇格があった」「26 部下が減った」から変更

●「27 早期退職制度の対象となった」
 → 削除

●「27 顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」
 → 新設

●「28 上司が替わる等、職場の人間関係に変化があった」
 → 「34 理解してくれていた人の異動があった」「35 上司が替わった」から変更

●「36 同僚等の昇進・昇格があり、昇進で先を越された」
 → 削除(注)
 (注)項目「28 上司が替わる等、職場の人間関係に変化があった」の(注)にて、「上司が替わった、同僚等に昇進で先を越された等に伴い、上司・同僚等との関係に問題が生じたときには、項目22~25で評価する。」とされています。

●「【恒常的長時間労働がある場合に「強」となる具体例】」
 → 新設

具体的出来事については、上記のほかに、「心理的負荷の強度を『弱』『中』『強』と判断する具体例」において、現行では「『強』になることはまれ」とされていた項目において具体例が示されるなどの変更もあります。

 

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。

精神障害 労災 認定基準 業務による心理的負荷を原因とする精神障害の認定基準 長時間労働

第13回「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33235.html

心理的負荷による精神障害の認定基準の改正について(令和2年5月29日基発0529第1号)
https://www.mhlw.go.jp/content/11201000/000638825.pdf