賃上げに向けた環境整備として価格転嫁円滑化に向けた法執行の強化が行われています

公正取引委員会は、令和3年12月27日に公表した「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」に基づき、価格転嫁円滑化に向けた法執行の強化に取り組んでいます。労働基準監督署からの通報制度の拡充もされています。

このパッケージは、公正取引委員会・中小企業庁が事業所管省庁と連携して進めているもので、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるようにすることで中小企業等が賃上げの原資を確保できるようにすることを目指すものです。

主な内容は、次のとおりです。

●価格転嫁円滑化スキームの創設
・毎年1月から3月までを「転嫁対策に向けた集中取組期間」と定め、下請事業者が匿名で「買いたたき」などの違反行為を行っていると疑われる親事業者に関する情報を公正取引委員会・中小企業庁に提供できる「違反行為情報提供フォーム」を設置
・令和3年度末までに把握した情報に基づき、公正取引委員会、中小企業庁は、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれる業種について、重点立入業種として毎年3業種ずつ対象を定めて立入調査を実施

●独占禁止法の適用の明確化
・下請法の適用対象とならない取引(注)についても、労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引は独占禁止法の「優越的地位の濫用」に該当するおそれがあることを明確化
 (注)資本金要件を満たさない取引や売買などの委託以外の取引、自家使用する役務を委託する取引

●独占禁止法の「優越的地位の濫用」に関する緊急調査および法執行の強化
・労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇分の転嫁拒否が疑われる事案が発生していると見込まれる業種について、荷主と物流事業者との取引のみ調査を行っていたが、令和3年度内に対象業種を追加的に選定し、令和4年度に緊急調査を実施
・公正取引委員会が取引価格への転嫁拒否が疑われる事案について立入調査を行い、関係事業者に対し、具体的な懸念事項を明示した文書を送付

●下請法上の「買いたたき」に対する対応
・労務費、原材料費、エネルギーコストの上昇を取引価格に反映しない取引は、下請法上の「買いたたき」に該当するおそれがあることを以下の方向で明確化
 (1)労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストの上昇分の取引価格への反映の必要性について、価格の交渉の場において明示的に協議することなく、従来どおりの取引価格に据え置くこと
 (2)労務費、原材料費、エネルギーコスト等のコストが上昇したため、下請事業者が取引価格の引上げを求めたにもかかわらず、価格転嫁をしない理由を文書や電子メールなどで下請事業者に回答することなく、従来どおりの取引価格に据え置くこと
・下請取引の監督強化のための情報システムの構築
・食品製造業者・小売業者間における適正取引推進ガイドラインを新たに策定

●労働基準監督機関における対応
・最低賃金違反や賃金・残業代の不払いが疑われる事業場に対して、是正を図るため、毎年1月から3月までの「集中取組期間」において最低賃金の遵守徹底を図り、賃金引上げや転嫁対策関連の施策を紹介
・労働基準監督機関による定期監督において、賃金引上げの意向や労働条件の改善状況を確認するとともに、労使において賃金の引上げを行うとの取決めを行ったにもかかわらず賃金支払が履行されず、度重なる指導でも是正しない事業場や定期賃金や割増賃金を適切に支払わず同様の法違反が繰り返される事業場については、司法処分を含め厳正に対応
・労働基準監督機関の立入検査・監督指導(臨検監督)の際に労働基準関係法令違反が認められなくても、賃金引上げの阻害要因として「買いたたき」等が疑われる事案については、労働基準監督機関から公正取引委員会や中小企業庁、国土交通省に通報

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。

賃上げ 価格転嫁 労務費 買いたたき 最低賃金

「パートナーシップによる価値創造のための転嫁円滑化施策パッケージ」について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2021/dec/211227.html

令和4年1月12日付 事務総長定例会見記録
https://www.jftc.go.jp/houdou/teirei/2022/jan_mar/220112.html