「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書が公表されています
厚生労働省は「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表しました。
これは、平成23年策定の認定基準により業務上外の判断が行われているところ、精神障害の労災保険給付請求件数が年々増加している背景には、同制度への認知が高まってきたこととともに、働き方の多様化が進み、労働者を取り巻く職場環境が変貌するといった社会情勢の変化があると考えられることから、近年の社会情勢の変化等を踏まえ、精神障害事案の審査をより適切・迅速に行うため、認定基準の全般について検討を行ったものです。
報告書では、精神障害に係る現状等について、次のようにまとめています。
・厚生労働省が実施している患者調査による「精神及び行動の障害」の推計患者数
→ 近年は50万人強の水準で推移
・全国健康保険協会の現金給付受給者状況調査報告
→ 健康保険の傷病手当金の受給原因となった傷病全体のうち、「精神及び行動の障害」の割合は最も高く、令和3年における割合は32.96%であり、次に多い新生物(がん)(全体の14.56%)の倍以上となっている
・厚生労働省・警察庁の令和4年中における自殺の状況
→ 令和4年の自殺者数は21,881人で、前年に比べ874人増加
→ 自殺の原因・動機については、「健康問題」が最も多い
・精神障害の労災保険給付請求件数、支給決定件数
→ 請求件数は増加傾向にあり、令和元年度以降は2,000件を超えている
→ 支給決定件数は令和2年度に600件を超え、令和4年度は710件となっている
→ 年齢別では、平成23年度から令和4年度までの12年間の累計では40歳代が29.6%で最も多く、次いで30歳代が27.7%、20 歳代が21.8%となっている
報告書のポイントとしては、次の3点が挙げられています。
業務による心理的負荷評価表の見直し
→ 具体的出来事に「顧客や取引先、施設利用者等から著しい迷惑行為を受けた」(いわゆるカスタマーハラスメント)、「感染症等の病気や事故の危険性が高い業務に従事した」を追加、類似性の高い具体的出来事の統合等
→ 心理的負荷の強度が「強」「中」「弱」となる具体例を拡充
精神障害の悪化の業務起因性が認められる範囲を見直し
→ 悪化前概ね6カ月以内に「特別な出来事」がない場合でも、「業務による強い心理的負荷」により悪化したときには、悪化した部分について業務起因性を認める
医学意見の収集方法を効率化
→ 特に困難なものを除き専門医1名の意見で決定できるよう変更
今後は、速やかに精神障害の労災認定基準を改正し、業務により精神障害を発病した人に対して、一層迅速適正な労災補償を行っていくとされています。
詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
精神障害 労災 認定基準 務による心理的負荷を原因とする精神障害の認定基準 長時間労働
「精神障害の労災認定の基準に関する専門検討会」の報告書を公表します
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_33933.html