デジタル改革関連法が成立
5月12日、デジタル改革関連法(「デジタル社会形成基本法」、「デジタル庁設置法」、「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」、「公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律」、「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」、「地方公共団体情報システムの標準化に関する法律」)が参議院本会議で成立しました。
本法は、デジタル・ガバメント実行計画(2018年に初版策定。2019年12月の改定を経て、さらにその後の取組の進展や新型コロナウイルス感染症への対応で明らかになった課題を踏まえ、2020年12月に改定)を実現するためのもので、計画概要では次の内容が示されていました。
●サービスデザイン・業務改革(BPR)の徹底
利用者にとって、行政のあらゆるサービスがデジタルで完結される行政サービスの100%デジタル化の実現 など
●一元的なプロジェクト管理の強化等
デジタル庁の設置も見据え、すべての政府情報システムについて、予算要求前から執行までの各段階における一元的なプロジェクト管理を強化 など
●国・地方デジタル化指針
ワンス・オンリー実現のための社会保障・税・災害の3分野以外における情報連携やプッシュ通知の検討、情報連携に係るアーキテクチャの抜本的見直し、マイナンバーカード機能のスマートフォン搭載、電子証明書の暗証番号再設定等を郵便局においても可能に、個人情報保護法制の見直し(法律等の一元化、民間事業者等の負担軽減)、戸籍における読み仮名の法制化(カードへのローマ字表記、システム処理の迅速化) など
●行政手続のデジタル化、ワンストップサービス推進等
書面・押印・対面の見直しに伴う行政手続のオンライン化推進、企業が行う従業員の社会保険・税および法人設立に関する手続のワンストップサービス推進、法人デジタルプラットフォームの機能拡充による法人等の手続きの利便性向上 など
●デジタルデバイド対策・広報等の実施
SNS・動画等によるわかりやすい広報・国民参加型イベントの実施 など
●デジタル・ガバメント実現のための基盤の整備
クラウドサービスの利用検討の徹底、セキュリティ評価制度(ISMAP)の推進、情報セキュリティ対策の徹底・個人情報の保護、業務継続性の確保 など
●地方公共団体におけるデジタル・ガバメントの推進
自治体の業務システムの標準化・共通化の加速、マイナポータルの活用等により地方公共団体の行政手続のオンライン化推進 など
そして、令和3年3月に内閣官房が示した「デジタル改革関連法案の全体像」では、各法案の内容を示しながら、次のようにまとめられていました。
(このうち、個人情報保護や行政手続に関する内容が多く含まれる「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律」については、5月14日分にてまとめます。)
●デジタル社会形成基本法案(施行日:令和3年9月1日)
IT基本法は廃止し、デジタル社会の形成に関し、基本理念及び施策の策定に係る基本方針、国、地方公共団体及び事業者の責務、デジタル庁の設置並びに重点計画の策定について
規定
●デジタル庁設置法案(施行日:令和3年9月1日)
デジタル社会の形成に関する司令塔として、国の情報システム、地方共通のデジタル基盤、マイナンバー、データ利活用等の業務を強力に推進
●デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案(施行日:改正する法律ごとに早いものは令和3年9月1日のほか、公布から4年以内)
個人情報関係3法を1本の法律に統合、国家資格に関する事務へのマイナンバーの利用の範囲の拡大(マイナンバー法等改正)、押印・書面手続の見直し(押印・書面交付等を求める手続を定める48法律を改正)、転入地への転出届に関する情報の事前通知(住民基本台帳法改正) など
●公的給付の支給等の迅速かつ確実な実施のための預貯金口座の登録等に関する法律案(施行日:公布日から2年以内(特定公的給付に係る規定は公布日、金融機関における申請は公布日から3年以内))
緊急時の給付金や児童手当などの公金給付に、登録した口座の利用を可能とするなど
●預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律案(施行日:公布日から3年以内(一部を除く))
相続時や災害時において、預貯金口座の所在を国民が確認できる仕組みを創設 など
●地方公共団体情報システムの標準化に関する法律案(施行日:令和3年9月1日)
地方公共団体の基幹系情報システムについて、国が基準を策定し、当該基準に適合したシステムの利用を求める法的枠組みを構築