「こども未来戦略方針」案が示されました

第5回こども未来戦略会議が開催され、「こども未来戦略方針」案が示されました。

若年人口が急激に減少する2030年代に入るまでが急速な少子化・人口減少に歯止めをかけるラストチャンスとして、若者・子育て世代の所得向上のための最低賃金の引上げや三位一体の労働市場改革を通じた持続的で構造的な賃上げと、次元の異なる少子化対策を、「車の両輪」として進めていくとしています。

「こども未来戦略」の基本理念は、次の3つです。

●若い世代の所得を増やす
●社会全体の構造・意識を変える
●すべてのこども・子育て世帯を切れ目なく支援する

実現のための「加速化プラン」として、今後3年間の集中取組期間において、できる限り前倒しして実施するとされた主な具体的な施策は、次のとおりです。

児童手当の拡充

 → 所得制限を撤廃し、全員を本則給付とするとともに、支給期間について高校卒業まで延長する
 → 児童手当の多子加算については、第三子以降3万円とする

出産等の経済的負担の軽減

 → 本年4月からの出産育児一時金の大幅な引上げ(42万円→50万円)および低所得の妊婦に対する初回の産科受診料の費用助成を着実に実施する
 → 出産費用の見える化について来年度からの実施に向けた具体化を進める
 → 2026年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等のさらなる強化について検討を進める

個人の主体的なリ・スキリングへの直接支援

 

 → 国の在職者への学び直し支援策について、5年以内を目途に、効果を検証しつつ、過半が個人経由での給付が可能となるようにしていく
 → 教育訓練給付について、補助率等を含めた拡充を検討するとともに、訓練期間中の生活を支えるための新たな給付や融資制度の創設などについて検討する

いわゆる「年収の壁(106万円/130万円)」への対応

 → 短時間労働者への被用者保険の適用拡大、最低賃金の引上げに引き続き取り組む
 → 被用者が新たに106万円の壁を超えても手取り収入が逆転しないよう、労働時間の延長や賃上げに取り組む企業に対し、複数年(最大3年)で計画的に取り組むケースを含め、必要な費用を補助するなどの支援強化パッケージを本年中に決定したうえで実行し、さらに、制度の見直しに取り組む

男性育休の取得促進

 → 制度面の対応として、男性の育児休業取得率の目標を以下のように引き上げる
   2025年 公務員85%(1週間以上の取得率)、民間50%
   2030年 公務員85%(2週間以上の取得率)、民間85%
 → また、次世代育成支援対策推進法を改正し、その期限を延長した上で、一般事業主行動計画について、数値目標の設定や、PDCAサイクルの確立を法律上の仕組みとして位置付けるとともに、男性の育児休業取得を含めた育児参加や育児休業からの円滑な職場復帰支援、育児のための時間帯や勤務地への配慮等に関する行動が盛り込まれるようにする
 → 育児・介護休業法における育児休業取得率の開示制度の拡充を検討し、これを踏まえて有価証券報告書における開示を進める
 → 給付面の対応として、出生後一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行の67%(手取りで8割相当)から、8割程度(手取りで10割相当)へと引き上げる。具体的には、男性が一定期間以上の「産後パパ育休」を取得した場合には、その期間の給付率を引き上げるとともに、女性の産休後の育休取得について28日間(産後パパ育休期間と同じ期間)を限度に給付率を引き上げることとし、2025年度からの実施を目指して、検討を進める
 → 加えて、育児休業を支える体制整備を行う中小企業に対する助成措置を大幅に強化する。その際、業務を代替する周囲の社員への応援手当の支給に関する助成の拡充や代替期間の長さに応じた支給額の増額を検討する。あわせて、「くるみん認定」の取得など、各企業の育児休業の取得状況等に応じた加算等を検討する

育児期を通じた柔軟な働き方の推進

 → こどもが3歳になるまでの場合においては、現行の育児・介護休業法上の措置に加え、子育て期の有効な働き方の一つとして、テレワークも事業主の努力義務の対象に追加することを検討する
 → こどもが3歳以降小学校就学前までの場合においては、育児・介護休業法で、短時間勤務、テレワーク、フレックスタイム制を含む出社・退社時刻の調整、休暇など柔軟な働き方について、事業主が職場の労働者のニーズを把握しつつ複数の制度を選択して措置し、その中から労働者が選択できる制度(「親と子のための選べる働き方制度(仮称)」)の創設を検討する
 → 残業免除(所定外労働の制限)について、対象となるこどもの年齢の引上げを検討する
 → こどもが2歳未満の期間に、時短勤務を選択したことに伴う賃金の低下を補い、時短勤務の活用を促すための給付(「育児時短就業給付(仮称)」)を創設する。給付水準については、具体的な検討を進め、2025年度からの実施を目指す。
 → 「子の看護休暇」について、対象となるこどもの年齢の引上げのほか、こどもの行事(入園式等)参加や、感染症に伴う学級閉鎖等にも活用できるように休暇取得事由の範囲を見直すことなどについて検討する
 → 仕事と育児の両立に取り組む労働者の心身の健康を守るため、企業における勤務間インターバル制度の導入やストレスチェック制度の活用など、労働者の健康確保のために事業主の配慮を促す仕組みを検討する

多様な働き方と子育ての両立支援

 → 雇用保険の適用拡大に向けた検討を進める。失業した場合に生計に支障を与えるような生計の一端を担う者を新たに適用対象とし、その範囲を制度に関わる者の手続きや保険料負担も踏まえて設定する。施行時期については適用対象者数や事業主の準備期間等を勘案して2028年度までを目途に施行する。
 → 国民年金の第1号被保険者について育児期間に係る保険料免除措置を創設する。免除期間や給付水準等の具体的な制度設計の検討を早急に進め、2026年度までの実施を目指す。

 

 

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。

児童手当 出産育児一時金 リ・スキリング 教育訓練給付 年収の壁 男性育休 次世代育成支援対策推進法 一般事業主行動計画 育児・介護休業法 テレワーク 残業免除 子の看護休暇
こども未来戦略会議(第5回)議事次第

https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/kodomo_mirai/dai5/gijisidai.html