全世代型社会保障構築に向けた論点整理(案)が示されました

第9回全世代型社会保障構築会議が開催され、全世代型社会保障構築に向けて取り組む課題を挙げた論点整理(案)が示されました。

次のような内容となっています。

 

1 「こども・子育て支援の充実」の検討課題

 ●すべての妊産婦・子育て世帯支援
 ・全世代型社会保障まで一貫して身近で相談に応じ、必要な支援につなぐ「伴走型相談支援」と経済的支援(0~2歳児への支援)の充実
 ・出産育児一時金の大幅な増額と出産費用の見える化、不妊治療に対する引き続きの支援
 ・すべての希望者が利用できるよう、産前・産後ケアの充実
 ・未就園児についても、一時的に預けられるサービスの利用を保障するなどの支援の充実

 ●仕事と子育ての両立支援(「仕事か、子育てか」の二者択一を迫られている状況の是正)
 ・育児休業後の円滑な職場復帰のため、あらかじめ保育の枠を確保できる入所予約システムの構築
 ・子育て期における長時間労働の是正や、個々の職場の状況に応じてテレワークなどを組み合わせた柔軟な働き方を選択できる仕組み
 ・男女ともに子育て期における柔軟な働き方の選択肢を広げられるよう、育児休業の取得を促進するとともに、
  希望する方が時短勤務を選択しやすくする給付の創設
 ・非正規雇用労働者の待遇差や雇用の不安定さが少子化の背景になっていることを踏まえ、
  「同一労働同一賃金」の徹底、雇用のセーフティネットや育児休業給付の対象外となっている短時間労働者への支援
 ・自営業者やフリーランス・ギグワーカー等に対する育児期間中の給付の創設

 

2 「働き方に中立的な社会保障制度等の構築」の検討課題

 ●勤労者皆保険の実現に向けた方向性
 ・勤労者皆保険に向けて、企業規模要件の撤廃、非適用業種の解消について早急に実現
 ・その他、小規模な個人事業所や適用対象外となっている短時間労働者についても、適用除外規定の見直しを行い、被用者保険の適用を図るべきであり、
  実務面の課題等にも配慮しつつ、具体的な方策を検討。その際、デジタル技術の活用による技術面の課題の解消も検討
 ・フリーランス・ギグワーカーについて、労働基準法上の「労働者」に該当すれば、適用対象外となる場合を除き、確実に被用者保険を適用すべき。
  それ以外の場合については諸外国の例等も参考に検討
 ・女性の就労の制約と指摘される社会保障制度や税制について、働き方に中立的なものとしていくべき。
  被用者保険のメリットをわかりやすく説明しながら、被用者保険の適用拡大を一層進める

 ●非正規雇用の方々を取り巻く課題の解決や労働移動の円滑化のために必要となる方策等
 ・「同一労働同一賃金」の効果を検証し、ガイドライン等の必要な見直しを検討。「無期転換ルール」について、その実効性をさらに高めるための方策を実施
 ・「多様な正社員」の拡充を労使双方にとって望ましい形で普及・促進する方策を検討するなど、
  正社員への転換を希望する非正規雇用労働者の「正規化」を推進
 ・個人のリスキリングなど人材の育成・活性化のための施策をはじめ労働移動の円滑化を促進するための施策について、一層強力に推進
 ・上記の取組みを進めるため、例えば、非正規雇用労働者の待遇改善や中途採用に関する取組状況等について、
  非財務情報の開示対象に加えることを含め、企業の取組みの促進策を検討

 

3 「医療・介護制度の改革」の検討課題

 ●医療保険制度
 ・出産育児一時金の大幅な増額と出産費用の見える化を実施[再掲]。その際、出産育児一時金の費用について、
  負担能力のある後期高齢者も含めて医療保険の加入者全体で支え合う仕組み
 ・後期高齢者の保険料負担と現役世代の支援金について、賦課限度額や所得に係る保険料率の引上げにより、
  負担能力のある高齢者に応分の負担を求めつつ、介護保険制度も参考に、一人当たりの伸び率が均衡するような見直しを図る
 ・被用者保険における保険料率の格差を是正する観点から、前期高齢者の医療費の分担について検討。
  その際、企業の賃上げ努力を促進する形での支援を検討すべき

 ●医療提供体制
 ・少子高齢化や人口減少がさらに進む中、都道府県の責務の明確化等による地域医療構想の推進、
  医療法人の経営状況の見える化などの医療法人改革、働き方改革の確実な実施等
 ・今後の高齢者人口のさらなる増加を見据え、かかりつけ医機能が発揮される制度整備は不可欠であり、早急な実現に向けて、以下の論点を整理すべき

 ●医療分野におけるDX
 ・データヘルス、オンライン診療、AI・ロボット・ICTの活用など、DXの確実な推進。
 (1)匿名データによるEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング。 証拠に基づく政策立案)への活用、
 (2)マイナンバーと紐付いた社会保障データ、民間とセットで管理するPHR(パーソナル・ヘルス・レコード。生涯型電子カルテ)の連携等のデータ利活用のあり方を整理

 ●介護保険
 ・地域包括ケアシステムのさらなる深化・推進のため、例えば、地域の拠点となる在宅サービス基盤の整備や、地域包括支援センターの体制整備等を推進
 ・介護職員の働く環境の改善に向けた取組みの検討(介護サービス事業者の経営の見える化や優良事例の横展開、
  ICT・ロボットの活用等による現場の生産性向上、行政手続のデジタル化等による業務効率化、経営の協働化・大規模化等による人材や資源の有効活用)
 ・保険制度の持続可能性を確保するため、「骨太の方針2022」や「新経済・財政再生計画 改革工程表2021」等に掲げられた課題を検討

 

4 「地域共生社会づくり(住まいの確保等)」の検討課題

 ・「住まいに課題を抱える者」は複合的な課題を抱えている場合も多いため、地域とつながる居住環境や見守り・相談支援の提供をあわせて行えるよう、様々な分野の関係部署・団体が連携した住まい支援に関する総合的な窓口・体制を構築
 ・入居者だけでなく、大家の安心という視点も含めた入居後の支援について一体的に検討

 

 

詳細は、下記リンク先にてご確認ください。
全世代型社会保障 勤労者皆保険 適用拡大 短時間労働者 個人事業所 フリーランス ギグワーカー 同一労働同一賃金 無期転換 労働移動の円滑化

全世代型社会保障構築会議(第9回)議事次第
https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/zensedai_hosyo/dai9/gijisidai.html