厚生労働省が「無期転換ルール」で初の実態調査結果を公表

◆無期転換を希望しない理由は?
 一方、有期契約労働者に対する調査では、無期転換の希望の有無について「希望する」と回答した人の割合が18.9%、「希望しない(有期労働契約を継続したい)」が22.6%、「わからない」が53.6%でした。無期転換を希望する理由は、「雇用不安がなくなるから」が最も高く、「長期的なキャリア形成の見通しや、将来的な生活設計が立てやすくなるから」、「その後の賃金・労働条件の改善が期待できるから」などが続いています。また、希望しない理由は、「高齢だから、定年後の再雇用者だから」が最も高く、次いで「現状に不満はないから」、「契約期間だけなくなっても意味がないから」となっています。

◆4割が「無期転換ルール」を知らない
 有期契約労働者が労働契約法における無期転換ルールに関して知っている内容(複数回答)について、問われた内容のどれか1つでも知っている人の割合は38.5%でした。知っている内容については、「契約社員やパート、アルバイト、再雇用者など呼称を問わず、すべての労働者に適用される」と回答した人は68.9%と最も高く、次いで「契約期間を通算して5年を超えても、労働者から「申込み」を行わなければ無期転換されない」が51.9%、「無期転換ル-ルが適用されるのは、2013年4月1日以降に開始(更新)された、有期労働契約である」が46.0%でした。一方、「無期転換ルールという名称は聞いたことがある」と回答した人は17.8%、「無期転換ルールについては何も知らない・聞いたことがない」が39.9%と、4割の人が制度そのものを知らないことがわかりました。

無期転換ルールが新設されて8年が経ちますが、制度について十分に認知されているとは言えないのが現状です。厚生労働省では3月から、無期転換ルールの見直しをテーマとする検討会が始まり、議論を重ねています。有期契約労働者と企業がお互いにルールの内容を理解し、ルールが適切に運用されることが望まれます。

【参考】厚生労働省「令和2年有期労働契約に関する実態調査(事業所調査)」PDF
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/172-2a-3.pdf

 

同「令和3年有期労働契約に関する実態調査(個人調査)」PDF
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/172-3a-3.pdf