社会保険 短時間労働者への適用拡大(事業所Q&A)

日本年金機構は、令和4年10月より施行となる社会保険(健康保険・厚生年金保険)の適用拡大に関するQ&Aを公表しています。

適用となる事業主、被保険者の要件についての詳細が記載されています。

 

今回は事業所に関するQ&Aについて抜粋しております。

①被保険者の総数が常時100人を超える

②特定適用事業所への該当後の手続き

③特定適用事業所該当通知書

④100人を超えなくなったとき

 

①被保険者の総数が常時100人を超える

問6 使用する被保険者の総数が常時 100 人を超えるか否かの判定は、適用事業所ごとに行うのか。

(答)使用する被保険者の総数が常時100人を超えるか否かの判定は企業ごとに行いますが、具体的には以下のいずれかの考え方で判定します。
① 法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時 100 人を超えるか否かによって判定します。
② 個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超えるか否かによって判定します。

 

問7

「被保険者の総数が常時100人を超える」において、被保険者はどのような者を指すのか。

今回の適用拡大の対象となる短時間労働者も含むのか。70 歳以上で健康保険のみ加入している被保険者は対象に含めるのか。
(答)特定適用事業所に該当するか判断する際の被保険者とは、適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数になります。
そのため、今回の適用拡大の対象となる短時間労働者や70歳以上で健康保険のみ加入しているような方は対象に含めません。

 

問8

「被保険者の総数が常時100人を超える」とは、どのような状態を指すのか。どの時点で常時100人を超えると判断することになるのか。
(答)「被保険者の総数が常時100人を超える」とは、
 ① 法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上100人を超えることが見込まれる場合を指します。
 ② 個人事業所の場合は、適用事業所ごとに使用される厚生年金保険の被保険者の総数が12か月のうち、6か月以上100人を超えることが見込まれる場合を指します。

 

②特定適用事業所への該当後の手続き

 

問9

特定適用事業所に該当した適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。
(答)特定適用事業所に該当した場合は、
① 法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所を代表する本店又は主たる事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります。

② 個人事業所の場合は、各適用事業所から、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出ることになります。

 

なお、適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、法人事業所であっても個人事業所であっても、各適用事業所がその者に係る被保険者資格取得届を事務センター等へ届け出る必要があります。

 

問 10

施行日から特定適用事業所に該当する適用事業所は、どのような手続が必要になってくるか。
(答)令和3年10月から令和4年8月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上100人を超えたことが確認できる場合は、

機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」を送付するため、

特定適用事業所該当届の届出は不要です。

(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対して通知書を送付します。)

 

ただし、適用拡大の実施に伴い、新たに被保険者資格を取得する短時間労働者がいる場合は、各適用事業所がその者に係る被保険者資格取得届を事務センター等へ届け出る必要があります。

 

③特定適用事業所該当通知書

問 11

施行日から特定適用事業所に該当する適用事業所や該当する可能性がある適用事業所に対して、あらかじめ機構から何らかのお知らせは送付されてくるか。
(答)

<特定適用事業所該当事前のお知らせ>
令和3年10月から令和4年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が6か月以上 100 人を超えたことが確認できる場合は、

同年8月頃に対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当事前のお知らせ」を送付し、同年10月頃に「特定適用事業所該当通知書」を送付します。

(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対してお知らせを送付します。)

 

<特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ>
令和4年8月に、令和3年10月から令和4年7月までの各月のうち、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が5か月 100 人を超えたことが確認できる場合

(同年9月までに1か月以上 100 人を超えると特定適用事業所に該当する場合)は、同年8月頃に対象の適用事業所に対して事前勧奨状として「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」を送付します

(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対してお知らせを送付します。)。

 

また、令和4年9月にも同様の確認を行い、直近11か月(令和3年10月から令和4年8月)で5か月100人を超えることが確認できる場合は、

同年9月頃に同通知を送付します。 ※ 機構から送付するお知らせについては別紙もご参照ください。

 

問 12

施行日以降、特定適用事業所に該当する可能性のある適用事業所に対して、あらかじめ機構から何らかのお知らせは送付されてくるか。
(答)施行日以降は、機構において、使用される厚生年金保険の被保険者の総数が直近11か月のうち、5か月100人を超えたことが確認できた場合

(5か月目の翌月も被保険者数が100人を超えると特定適用事業所に該当する場合)は、対象の適用事業所に対して、「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」を送付します

(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対してお知らせを送付します。)。
※ 機構から送付するお知らせについては別紙もご参照ください。

 

問 13

「特定適用事業所に該当する可能性がある旨のお知らせ」が送付され、5か月目の翌月も被保険者の総数が 100 人を超えたため

特定適用事業所に該当したにもかかわらず、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出なかった場合はどうなるか。
(答)施行日以降は、特定適用事業所に該当したにもかかわらず、事務センター等へ特定適用事業所該当届を届け出なかった場合は、

機構において対象の適用事業所を特定適用事業所に該当したものとして扱い、対象の適用事業所に対して「特定適用事業所該当通知書」を送付します

(法人事業所の場合は、同一の法人番号を有する全ての適用事業所に対して通知書を送付します。)。

 

④100人を超えなくなったとき

 

問 15 使用される被保険者の総数が常時 100 人を超えなくなった場合、どのように取り扱われるか。

(答)使用される厚生年金保険の被保険者の総数が常時100人を超えなくなった場合であっても、引き続き特定適用事業所であるものとして取り扱われます。
ただし、使用される被保険者の4分の3以上の同意を得たことを証する書類を添えて、事務センター等へ特定適用事業所不該当届を届け出た場合は、対象の適用事業所は特定適用事業所に該当しなくなったものとして扱われることとなります

 

(法人事業所の場合は、特定適用事業所該当届の届出方法と同様に、同一の法人番号を有する全ての適用事業所を代表する本店又は主たる事業所が取りまとめ、

事務センター等へ特定適用事業所不該当届を届け出ることになります。

 

このとき、短時間労働者に係る被保険者がいる場合は、併せて資格喪失届の提出が必要となります。

なお、届出による特定適用事務所の不該当年月日及び短時間労働者に係る被保険者の資格喪失年月日は受理日の翌日となります。

 

問 16

不該当届は、100 人を超えなくなったら直ちに提出可能なのか。被保険者の4分の3以上の同意を得てとあるが、70 歳以上の被用者は含まれるのか。
(答)不該当届は、被保険者の総数が100人以下となった日以後であれば、その総数が常時100人を超えなくなった時点で提出可能となります

(常時100人超の判断については問8参照。実際に100人以下となった月が、直近1年のうち6ヶ月以上となることを待つ必要はありません)。

 

なお、被保険者の不利益を生ずる手続きが事業主の一方的意思によって行われることを防止するため、届出の提出時には労使の合意が必要となります。

特定適用事業所の不該当の届出に必要な同意は、次のとおりです。
 ① 同意対象者(厚生年金保険の被保険者、70歳以上被用者(※)、短時間労働者)の4分の3以上で組織する労働組合がある場合は、当該労働組合の同意
 (※)過去に厚生年金保険の加入期間を有する方であって、仮に70 歳未満であれば、厚生年金保険の被保険者要件(短時間労働者においては3要件)を満たすような働き方をしている方に限ります。

 ② ①に掲げる労働組合がない場合は、次のいずれか
  ・同意対象者の4分の3以上を代表する者の同意

  ・同意対象者の4分の3以上の同意

 

問 17

「施行日に特定適用事業所に該当する旨のお知らせ」や「特定適用事業所該当通知書」が送付されてきたが、施行日前に、被保険者の総数が100人を超えなくなった場合、特定適用事業所に該当したことを取り消すことはできるか。
(答)特定適用事業所不該当届を、事務センター等へ届け出ることにより、特定適用事業所に該当したことを取り消すことができます。

 

問18

「常時100人を超える」と見込んで特定適用事業所該当届を提出し適用された後、実際には常時100人を超えなかった場合は遡及取消となるのか。
(答)遡及取消にはなりません。また、特定適用事業所を不該当とする場合は、通常の手続きと同様に労使の合意が必要となります。

 

 

詳細はリンクををご確認ください。

参考

令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大Q&A集(令和4年10月施行分)
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.files/QA0410.pdf